日本の不動産投資及び国際的な税務手続き

7.日本の不動産投資に関する税務

まず、日本の不動産を国内の個人又は法人が投資する場合の各種の税務に関するご案内をいたします。

①取得にかかる税(売買による取得)税目課税標準税率
登録免許税固定資産税評価額20/1000(例外有)
不動産取得税固定資産税評価額3/100(土地及び住宅家屋)
固定資産税評価額4/100(非住宅家屋)

固定資産税評価額とは市区町村で管理している固定資産課税台帳に登録されいている価格で、場所によっては市場価格の30%程度~60%程度の価格となる。

②保有にかかる税 税目課税標準税率
固定資産税固定資産税評価額1.4/100(土地及び家屋)
都市計画税固定資産税評価額0.3/100(土地のみ)
③使用料(賃貸)にかかる税 税目課税標準税率
法人税及び法人地方税等経費控除後の利益法人の規模及び利益の規模に応じ23~37%
所得税及び住民税及び事業税経費控除後の利益超過累進税率により5%~60%
④譲渡にかかる税 税目課税標準税率その他事項
法人税及び法人地方税等譲渡費用控除後の譲渡益法人の規模及び利益の規模に応じ23~37%
所得税及び住民税譲渡費用控除後の譲渡益20.315%長期保有譲渡
所得税及び住民税譲渡費用控除後の譲渡益39.63%短期保有譲渡/例外計算あり

⑤贈与及び相続にかかる税

贈与税及び相続税が課税されるが、その課税対象となる不動産の評価額は例えば東京都内の物件の場合、実勢価格の半分程度となるが、贈与に関しては韓国に比べ、とても高い税率が課税される場合があるので注意。また、課税後韓国で合算課税。

次に、日本の不動産を誰の名義で取得するかについて国際税務の視点からご説明いたします。

A.韓国の個人や韓国の法人で取得した場合の課税

①取得にかかる税課税標準税率
登録免許税上記と変わりなし。
不動産取得税上記と変わりなし。
②保有にかかる税課税標準税率
固定資産税上記と変わりなし。
都市計画税上記と変わりなし。
③使用料(賃貸)にかかる税課税標準税率
法人税及び法人地方税等経費控除後の利益法人の規模及び利益の規模に応じ16.545%~25.5896%
所得税及び住民税経費控除後の利益超過累進税率により5%~45%

住民税等の地方税は課税されないが、源泉所所得税を賃料に関して20.42%課税される。 また、日本で申告後韓国でそれぞれ合算課税をし、日本で納めた税金を外国税額控除。

④譲渡にかかる税課税標準税率その他事項
法人税及び法人地方税等譲渡費用控除後の譲渡益法人の規模及び利益の規模に応じ16.545%~25.5896%
所得税及び住民税譲渡費用控除後の譲渡益15.315%長期保有譲渡
所得税及び住民税譲渡費用控除後の譲渡益30.63%短期保有譲渡/例外計算あり

住民税等の地方税は課税されないが、源泉所所得税を賃料に関して10.21%課税される。 また、日本で申告後韓国でそれぞれ合算課税をし、日本で納めた税金を外国税額控除。

⑤贈与/相続にかかる税

贈与税及び相続税が課税されるが、その課税対象となる不動産の評価額は例えば東京都内の物件の場合、実勢価格の半分程度となるが、贈与に関しては韓国に比べ、とても高い税率が課税される場合があるので注意。また、課税後韓国で合算課税。

B.日本に現地法人を設立しその法人で取得した場合の課税

①取得にかかる税課税標準税率
登録免許税上記と変わりなし。
都市計画税上記と変わりなし。
②保有にかかる税課税標準税率
固定資産税上記と変わりなし。
都市計画税上記と変わりなし。
③使用料にかかる税課税標準税率
固定資産税上記と変わりなし。

*ただし、資本金が1億円を超えている場合や韓国の親会社の資本金が5億円相当額を超えている場合には、大会社に該当し中小会社の恩恵を受けられなくなるので注意 **外国関連者に対する支払利息の損金不算入。  外国関連者に対する支払利息の内、一定のものは損金に不算入になる。

④譲渡にかかる税課税標準税率
上記と内国法人と変わりなし。

*ただし、資本金が1億円を超えている場合や韓国の親会社の資本金が5億円相当額を超えている場合には、大会社に該当し中小会社の恩恵を受けられなくなるので注意。

cf. 現地法人の株式

①譲渡にかかる税

  • ※法人財産中、不動産がほとんどを前提
株主が韓国個人所得税を日本国内で申告した後に韓国で合算課税。(ただし、住民税等は課税されない。)
株主が韓国法人法人税を日本国内で申告した後に韓国で合算課税。(ただし、地方法人税等は課税されない。)

②贈与/相続にかかる税

  • 贈与税及び相続税が課税されるが、その課税対象となる不動産の評価額は例えば東京都内の物件の場合,
  • 実勢価格の半分程度となるが、贈与に関しては韓国に比べ、とても高い税率が課税される場合があるので注意。
クライアント第一

8.納税管理人申告

[概要] 国内に住所を有していない、又は有しないこととなる場合に、申告書の提出その他国税に関する事項を処理する必要のため納税管理人を選任する場合又は選任していた納税管理人を解任した場合の手続です。 [手続対象者] 納税管理人を選任した、又は解任した方 [提出時期] 納税管理人を選任する場合は、その納税管理人を定めたとき又は出国の日までに提出してください。 納税管理人を解任する場合は、その納税管理人を解任したときに提出してください。 [提出先] 納税地を所轄する税務署長(税務署の所在地等については、国税庁ホームページの「組織(国税局・税務署等)」の「税務署の所在地などを知りたい方」をご覧ください。)に提出してください。 [手続根拠] 国税通則法第117条

9.人的役務の提供事業の対価

給与等の人的役務の提供に対する報酬等(十二号所得) 国内法では、給与等の人的役務の提供に対する報酬等については、原則 として、国内において役務の提供が行われたものを国内源泉所得として源 泉徴収をすることとされています。  これに対し租税条約では、人的役務の提供による報酬等を、給料等の雇用契約に基づくものと、自由職業者等の事業所得に該当するものとに分類して規定し、給与等については短期滞在者を源泉地国*免税、自由職業者等 については芸能人等に該当する者を除き恒久的施設がなければ源泉地国免税としているのが一般的です。  なお、この所得は、非居住者が自己の役務の提供に基づき取得するものであり、他人の役務を提供することを目的とした人的役務の提供事業の対価(六号所得)とはその内容を異にしています。* *源泉地国免税とは、非居住者に対して課税する国のことです。

日本国内における現地法人の設立について